現在発売中の「教育音楽 中・高版 06月号」に
高等学校の部の課題曲の作家陣、
初演指導者陣によるインタビューが
掲載されています。
今年の高等学校の部「ここにいる」はア・カペラ。
そして作詞が21歳のほぼ高校生と同年代の
現役大学生の詩人・文月悠光さん。
解釈に迷っている高校生が多いようなので、
文月さんのインタビューを要約して紹介します。
ただし、一部抜粋・要約なので、
詳細は「教育音楽」をご覧ください。
初演陣の音楽的なアドバイスは
きっと参考になると思います。
■初めての作詞への戸惑い
初めての打ち合わせは2012年7月の誕生日。
→初の作詞、歌うのは3~4歳しか違わない高校生。
→わくわく+若干の不安
↓
ほぼ同世代の高校生に何が伝えられるだろう?
■学生時代に触れた合唱の「歌詞」
歌うことは大好き
→しかし、詞は身近なものとは受け止めなかった
→語られている未来や希望は自分の現実とは乖離
↓
「虚構の青春群像劇」だった
■テーマの「スタート」をどう受け止めた?
一度生まれたからにはゼロからスタートではない
→大切なのは過去を引き継ぎ「再出発」すること
■「好き」を見いだす=「スタート(再出発)」
「好き」→自分の根源から湧き出すもの
↓
「好き」に取り組む時「自由」になれる
↓
心ない日常が立ちはだかる
→「好き」という気持ちで耐え抜ける
↓
10代は環境も内面も変動する時期
→そんな時「ここにいる」を口ずさんで欲しい
↓
「好き」を見いだすことで改めて「出発」して欲しい
■歌詞の中のモチーフ
「鉛筆」「日記」「手紙」
→自分にとって身近なもの
→虚構らしく演出するのが嫌だった
↓
握りしめているものは「鉛筆」でなくてもよい
→野球ボール・編み棒・合唱…
→自分の「好き」を見いだし、心の中に握る
→「ここにいる自分」を表現できる
いかがでしょうか?
インタビューで私は結構スッキリしました。
なぜこのような曲がつけられたのかも
わかったような気がします。
詩では迷いの中にいることを宣言した上で、
自分の中に湧き出る「好き」を見いだす、
これが再出発(=スタート)と歌われています。
私の中ではこの主人公は、
ベッドに入る前、机に座り
あれこれ想いをめぐらせ、
迷いの中にいるように見えます。
鉛筆を持ち、想いを書き連ねます。
鉛筆を持ち、想いを書き連ねること
=「好き」なことであり、
=「ここにいる」自分を表現できる
=再出発(=スタート)
この「好き」を“遠いわたし”、
“遠いあなた”に伝えるために、
主人公はさらに想いを吐露します。
文月さんが詩の中に出てくるモチーフを
読み手側でも置き換えることを勧めていますが、
たとえば合唱人ならどうでしょう?
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わたしを塗り替える
色あざやかな言葉がほしい
文字はわたしを連れていく舟
↓
わたしを塗り替える
色あざやかな響きがほしい
歌声はわたしを連れていく舟
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と置き換えてみてはどうでしょうか?
一気にこの詩に近寄れないでしょうか?
出だしの「わたし “ほんとうは”迷子です」
という表現も面白いですよね。
まだ読み手は何も知らないのに、
“ほんとうは”と付けて宣言しています。
これはどういう意味なのでしょうか?
解釈に正解はありませんが、
詩と曲の両面から自分の解釈を
見つけるとよいかと思います。
作曲の新実さんも詩を絶賛されていて、
いずれ曲集にまとめたいそうです。
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文月悠光の課題曲「ここにいる」の詩はどう解釈する?~迷子の中で「好き」を見いだすことがスタート?
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