令和に「鮎の歌」がよみがえったというニュース
元七生緑小の後藤先生が率いる平山小が、「鮎の歌」を選曲していることが話題になっているので、「鮎の歌」について取り上げたいと思います。
らじるらじるでも早速聴きましたが、やはり名曲だと思います。
昭和の制限時間は3分半でしたが、今は制限時間が4分ですので、当時よりは多少余裕を持って歌えると思います。
盛んに歌われた組曲「鮎の歌」
「鮎の歌」は、昭和末期から平成初頭によくNコンで歌われた関根榮一・湯山昭コンビの曲。
この曲が収録されている組曲の「鮎の歌」には、他にも「雉」「わさび田」等も収録されています。
「わさび田」と「鮎の歌」は同じくらいよく歌われていた記憶がありますが、意外にもNコンでは金賞曲となったことがありません。
「わさび田」もぜひどこかの強豪校の先生、取り上げていただけたら。
▲「わさび田」(昭和63年度銀賞、愛媛大学教育学部附属小学校)
ちなみに、同じく静岡県を歌った組曲「駿河のうた」もおすすめです。
その中の一曲「みかんの花はかおり」は昭和59年に愛媛大学教育学部附属小学校が歌い、最優秀校となっています。
▲八戸市立図南小学校合唱部(昭和60年代頃)
話は戻って「鮎の歌」ですが、小学生の想像力と知識を高めるのにうってつけの一曲で、Nコンの目指す「豊かな音楽活動」にもつながる曲です。
昨今流行りの壮大なテーマの曲も良いですが、日本の自然美を歌った素朴な曲もレパートリーとして取り上げて欲しいものです。
コンクールで歌わなくても、大きく成長させてくれる組曲だと思います。
ということで、今回は小学生が「鮎の歌」を歌う前に知っておいた方が良いと思うことを自由研究の課題形式で書き上げてみました。
あくまで私がこの詩から読み取ったもので、正解は一つではないですし、勘違いしている部分もあるかもしれません。
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「鮎の歌」で学ぶ鮎の一生
▲金竜小学校合唱部(昭和60年代の定演音源から)
1️⃣ 「鮎の歌」のおもな舞台はどこでしょうか。地図で確認してみましょう。
静岡県伊豆市の狩野川沿いを地図で確認しましょう。「修善寺」を中心に探してみると良いと思います。
2️⃣ 「うす紫の霧のけむりをあげながら」はどんな光景ですか。絵にしてみましょう。
早朝に鮎釣りをする様子を探してみると良いと思います。
3️⃣ 「狩野川の本流」とありますが、狩野川はいくつもの川が合流して成り立っている川です。地図の中から「猫越川」「船原川」「皆沢川」「吉奈川」「桂川」を見つけて色を塗ってみましょう。
その他に歌詞に登場する「火の沢川」「二の小屋川」は通常の地図には載らないほどの小さな川なので省きました。
4️⃣ 鮎は何を食べて大きくなるでしょうか。歌詞の中から見つけて、それがどんなものか調べてみましょう。
「水垢」と呼ばれる川石についた藻や苔のようなものを食べて大きくなります。水垢をたくさん食べた鮎は、香りが高く、鮮やかなだいだい色(柿色)になると言われています。
5️⃣ 「太刀(たち)」とは「刀(のような)」という意味です。夏の鮎がどんな鮎か絵にしてみましょう。
川石の水垢を食べる鮎は、陸上から見ると光って見えることから、「きらめく 太刀」という表現が使われています。
6️⃣ 2番では「谷から谷へ 歌のこだまをひびかせて」とありますが、1番の川とどんな違いがあるか考えてみましょう。
1番では「川ぞいの町」とあることから、下流の川幅の広い川と思われます。
2番は「谷から谷へ」「こだま」という表現から、中流~上流の谷間の川と思われます。上流を目指すことで、流れも1番より速くなっていきます。
7️⃣ 「柿色」とは、柿のような濃いだいだい色を表した色です。詩の中の鮎がどうして柿色のひれを持つのか調べてみましょう。
水垢をたくさん食べた天然の鮎は、香りが高く、柿色が鮮やかになると言われています。
一方、養殖の鮎は、香りが薄く、柿色がほとんどないと言われています。
8️⃣「胸びれと尾びれを たたいて 挑むは 何」とありますが、どんな光景を描いたものか考えてみましょう。
鮎は春頃から上流を目指して川をさかのぼり始め、中流までさかのぼった夏の鮎は「縄張り」を作って生活するようになり、縄張りに他の鮎が近づいてくると、激しく追い払います。縄張りの川石を守るために3メートル先から飛んでくることもあるそうです。
この習性を利用したのが「鮎の友釣り」で、夏の風物詩となっています。友釣りについても調べてみましょう。
9️⃣ 「川をのぼることだけが」から「川をのぼることだけを」と歌詞が変化しています。なぜなのか考えてみましょう。
「川をのぼることだけが鮎のいのち(=ひたすら川をのぼることが鮎の一生)」だった下流~中流から、上流で一生のピークを迎え、その後秋に再び下流に下り産卵し、短い一生を終えます。
「川をのぼることだけを」に変化したのは、ピークを迎えた鮎の命のはかなさへの深い感動を表現していると思われます(詠嘆の助詞「を」、つまり「本当にひたすら川をのぼるだけに必死に生きたはかない一生なんだなぁ」という想い)。
「若いいのち」の「若い」は「短い」という意味で使われていることに注意。
▲鮎の一生(『水産総合研究センター NEWS LETTER おさかな瓦版 No. 56 アユ』より)
やはり深い❗️関根榮一さんの詩の世界
ということでいかがだったでしょうか❓️
あらためて詳しく「鮎の歌」の歌詞を読み返しましたが、関根榮一さんの詩の深さと湯山昭さんの旋律の美しさにひたすら感動するばかり。
今の時代は小学生でも写真や動画でいくらでも鮎について知ることもできます。ぜひ鮎の一生を追ってみてください。
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