少しだけNコン2023高等学校の部の感想を
昨日の高等学校の部、印象的だったのは豊島岡女子学園高校の「機織る星」。
今から半世紀以上前の昭和46年に山形西高校がこの曲で最優秀校(現・金賞)となって以来でした。
先日も紹介しましたが、ちょうど10年前のNコンで豊島岡女子学園中学校が「たましいのスケジュール」で金賞を受賞し、全国の中学校の選曲の流れを少しずつ変えていったことがありました。
今回も現代曲が溢れる高等学校の部で、古い曲にも新しさを見出せるよう、流れを少しずつ変えていってくれたらいいなと思います。
以前にも審査員の言葉として紹介していますが、「金賞校には全国に豊かな音楽活動の方向性を示す役割もある」というのを改めて実感する1曲でした。
もちろん、今回全国に出場した学校の自由曲が悪かったというわけではないですし、古い曲ばかりを歌って欲しいということではありません。
今回、2組の被りが生じてしまったのは、人気曲の奪い合いの状態が生まれているようにも見えました。「自由曲は選曲が命」「選曲のセンスが問われている」というのは昭和の時代から言われています。新旧を織り交ぜ、より幅広い範囲から自由曲を選ぶ・探すことをお願いしたいです。
昨日紹介した第52回で主催者から審査員へのお願いにも書かれていた、「このコンクールは、審査員だけではなく、一般の方々に聴いてもらうための催しでもある」というのを選曲の際に頭の隅に入れておくと良いかもしれません。
金賞校の演奏動画が公開中‼️高等学校の部の人気課題曲
ところで、過去の高等学校の部の人気課題曲の投票結果が発表されていました。
すべて平成以降の課題曲で、昭和の課題曲が1曲も入っていないのが悲しい😭ですが、ホームページには当時の金賞校の演奏動画が公開中です。思ったより画質も良くて、ぜひご覧になってみてください。
- 「聞こえる」(安積女子高校)
- 「「新しい人」に」(仙台第三女子高校)
- 「言葉にすれば」(杉並学院高校)
- 「青春譜」(宮崎学園高校)
- 「僕が守る」(宮崎学園高校)
- 「明日へ続く道」(幕張総合高校)
- 「共演者」(幕張総合高校)
- 「次元」(鶴岡北高校)
- 「君が君に歌う歌」(大妻中野高校)
- 「僕が僕を見ている」(豊島岡女子学園高校)
- 「彼方のノック」(郡山高校)
- 「無音が聴こえる」(大妻中野高校)
昭和の課題曲が1曲も入っていなかったのが悲しいので、個人的にセレクトして紹介しておきます。
1つ面白い課題曲をあげるなら昭和60年の課題曲A「青春のノートブック」(青島広志)。
平成21年の「あの空へ~青のジャンプ~」(大島ミチル)でもスキャットが可能でしたが、実は昭和60年の課題曲が元祖でした。
さらに昭和49年「ともしびを高くかかげて」・50年「海はなかった」では、ギター伴奏を可能としていましたが、Nコンは昭和の時代から新たな音楽活動の方向性を模索していたことがわかります。
「青春のノートブック」の楽譜より
1️⃣ <ボーカリーズ><口笛><カズー>のいずれかを選んでください。
また、これらのどれを選んでも、1つの種類で通さなくてもかまいません。たとえば、前奏の部分はカズー、オブリガートはボーカリーズという組み合わせを考えても結構です。また、前奏およびオブリガートは、どの声域のメンバーを組み合わせてもかまいません。
どの声域のメンバーを組み合わせてもかまいません。
混声合唱の場合のオブリガートは、
- 女声のみ
- 男声のみ
- 女声と男声が同時に演奏する
以上のような組み合わせが考えられます。
▲スキャットとひざ打ち等を使った「青春のノートブック」(高松第一高校)
2️⃣ ボーカリーズ(Vocalise)は、意味を持たないことばによって歌うことで、<スキャット>と呼ぶ人もあります。日本語では、「母音唱法」と訳されていますが、この曲の場合は、子音を含めたことばを使っていただきたいと思います。楽譜には“ルルルー”と書かれていますが、“パパパー”や“タタター”など、好みのことばを選んでください。
3️⃣ カズー(Kazoo)は、最近若い人の間で親しまれている簡便な楽器です。
※作り方は省略。松江北高校の演奏を参照。
▲カズーやスキャット等を使った「青春のノートブック」(松江北高校)
「ともしびを高くかかげて」(冨田勲)
▲昭和56年の八潮高校によるバンド付き演奏
※昭和49年の課題曲
「みえない樹」(佐藤眞)
▲昭和52年の八潮高校(全国3位)
「ひとつの朝」(平吉毅州)
▲昭和53年の八潮高校(全国3位)
「走る海」(廣瀬量平)
▲昭和55年の山形西高校(最優秀校)
「わが里程標」(平吉毅州)
▲昭和56年の八潮高校(最優秀校)
「みぞれ」(野田暉行)
▲昭和58年の松江北高校(最優秀校)
第90回 NHK全国学校音楽コンクール 小学校の部
ということで、今日は2日目の小学校の部。
スペシャルコーナーには第1回から出場を続けている小学校を紹介とありますが、熊本市立碩台小学校のことだと思います。今年はブロックコンクールに出場し、銅賞を受賞しています。
第1回のコンクール名称は「児童唱歌コンクール」。
昭和7年11月26日にラジオ放送・同時審査され、審査結果発表は11月30日でした。審査場所は東京音楽学校講堂。十数名の審査員がスピーカー前で審査し、参加は尋常小学校5年生に限定され、男女別でした。
第1回 児童唱歌コンクール
課題曲
<男生>
(イ)「冬景色」(文部省唱歌)
(ロ)「スキー」(新尋常小学唱歌)
<女生>
(イ)「海」(文部省唱歌)
(ロ)「田舎の冬」(新尋常小学唱歌)
選択制ではなく、2曲とも歌います。
熊本市碩台尋常高等小学校(現・碩台小学校)は女子のトップバッター。随意曲(現・自由曲)に「星の界」(日本語詞:杉谷代水、曲:コンヴァース)を歌っています。
当時の審査講評を見ると、ラジオ放送審査だったので、当時の放送品質に苦言が多数出ています。
- 熊本の斉唱が甚だしくかすれ濁っており、審査委員長席の聴取機のコントロールを試みるも、熊本放送局のヴォリュームコントロールが悪かったと判明、熊本の女子の斉唱が終わるまで続いた。
- 中継状況を綿密に調査せずに行った無謀さに驚くとともに、この状況で採点し、しかも等級をつけたら、幾多の童心を傷つけることか。主催者は大いに反省して欲しい。
翌年は審査員を地方に派遣し、参加料徴収したので参加校が減り、その後放送でも同等の審査ができると判明したので、その翌年から再び参加料無料・放送同時審査になりました。
と、こういった情報を頭に入れて放送の特集を楽しんでください。
リポーターには久しぶりのニッチェ。
テレビで緊張してしまう小学生たちはどうしてもおりこうさんになってしまい、素の姿が見えにくくなるのですが、お二人はその緊張を解きほぐすのが本当に上手いので、合唱を離れたときはどんな子たちなのか、引き出してくれるのが楽しみです。
番組の最後には来年度の課題曲担当者も発表されます。
放送時間
10月8日(日) Eテレ 午後2:00~5:00
演奏順・自由曲
(1) 中標津町立中標津小学校/中標津町立丸山小学校/別海町立上春別小学校 北海道ブロック(釧根地区)
少年少女のための合唱組曲「わたしが呼吸するとき」から
「わたしが呼吸するとき」
作詞:坂田江美、作曲:吉田峰明
(2) 伊万里市立伊万里小学校 九州・沖縄ブロック(佐賀)
「すき」
作詩:谷川俊太郎、作曲:松下耕
(3) 北上市立黒沢尻北小学校 東北ブロック(岩手)
同声合唱とピアノのための「時とところを超えたなら」から
「ここよりもっと 星の見える場所があるなら ぼくたちは どこへだって行く」
作詞:覚和歌子、作曲:横山潤子
(4) 港区立白金小学校 関東甲信越ブロック(東京)
「躍るミュージアム」
作詩:みなづきみのり、作曲:大田桜子
(5) 神戸市立御影北小学校 近畿ブロック(兵庫)
「いまの「いま」」
作詞:工藤直子、作曲:三宅悠太
(6) 郡山市立大島小学校 東北ブロック(福島)
少年少女のための合唱組曲「虹がなければ」から
「虹がなければ」
作詩:坂田江美、作曲:吉田峰明
(7) 新居浜市立高津小学校 四国ブロック(愛媛)
「子どものはた」
作詞:佐藤義美、作曲:信長貴富
(8) 下関市立熊野小学校 中国ブロック(山口)
「生きてる地球」
作詩:金澤智恵子、作曲:大田桜子
(9) 佐久市立野沢小学校 関東甲信越ブロック(長野)
「祝い唄 三つ、」
作曲:横山潤子
(10) 岡崎市立六名小学校 東海北陸ブロック(愛知)
「まいごのひかり」
作詞:工藤直子、作曲:三宅悠太
(11) 目黒区立東山小学校 関東甲信越ブロック(東京)
同声合唱とピアノのための「ひかりのものがたり」から
「ああ ひまわり」
作詩:覚和歌子、作曲:横山潤子
見どころ
課題曲は「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」シリーズ原作などを手がける児童文学作家の廣嶋玲子さんが作詞、村松崇継さんが作曲した「緑の虎」。
ゲスト司会は、Nコン90!応援アンバサダーの上白石萌歌さん。そして、Nコン愛にあふれるニッチェがリポーターを担当し、子どもたちを盛り上げます。
番組後半のスペシャル・ステージでは、90回記念企画の「みんなのイチオシ!課題曲」コーナーや、1932年の第1回からNコン出場を続ける熊本の小学校のドキュメントのほか、参加校の代表児童によるスペシャル合唱団が、いまも歌い継がれているなつかしの課題曲や、課題曲スペシャルメドレーの演奏をお届けします。
ゲスト司会
上白石萌歌(俳優・歌手)
リポーター
ニッチェ
司会
浅野里香アナウンサー、二宮直輝アナウンサー
審査員
- 村松崇継(作曲家)
- 上田真樹(作曲家)
- 藤原規生(指揮者)
- 伊東恵司(指揮者)
- 望月哲也(声楽家)
- 志民一成(文部科学省 初等中等教育局 教育課程課教科調査官)
- 玉野麻衣(全日本音楽教育研究会小学校部会長)
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