(昭和55年度中学校の部課題曲「うつくしい鐘が…」)
ふと35年前の中学校の部の課題曲
「うつくしい鐘が…」を聴いていたのですが、
この頃の中学生は今とは別の意味で
とても贅沢だったのだと思います。
詩を手がけたのは詩人の新川和江さん。
Nコンでは他に「きょうの陽に」(H13高)
も手がけられています。
うつくしい鐘が
この世のどこかに吊るされていて
やさしく鳴りひびくとき
ほっかりと花はひらき
そよ風は世界をめぐる
(「うつくしい鐘が…」冒頭)
たぶん、パッと読んだだけで
内容を把握できる人はいないと思います。
この詩をネットのない当時、
手探りで半年かけて解釈していたのでしょう。
解釈の余地を大いに残した
多感な中学生の課題にふさわしい詩だと思います。
昨今はポップス路線になり、
等身大のメッセージソング的性格が強いので、
解釈するよりも、どこに共感したか?
どこが自分と重なる部分があったのか?
という詞がほとんどです。
この35年前の中学生に向けた課題曲は、
今となっては逆に新鮮に響くのでした。
美しい詩は詩を読むだけで十分堪能できます。
以前、掲載したことがありますが、
「うつくしい鐘が…」の
新川さんによる解説を載せておきます。
「うつくしい鐘が…」詩:新川和江、曲:飯沼信義
生まれたきっかけは?
中2の姪が小学生の頃の言葉:
「おばちゃまの話す言葉は、なんだかうつくしいような気がする。」
「うつくしい」という言葉を、気恥ずかしそうに、うっとりとした表情で発していた。
↓
折あるごとに、このことを思い出す。
この「うつくしい」という言葉をぜひ使ってみようと思った。
→平素、詩の中では不用意に用いることを警戒していた言葉=「うつくしい」「鐘」とは?
新川さんは「鐘」が好きで、詩の中にしばし現れるモチーフ。
↓
目で見え、手で触れる、実在の鐘ではない。
↓
花を咲かせたり、そよ風を吹かせたり、果物を実らせたりする自然の大きな力。
→鐘のイメージを借りて表現している。
↓
つまり、歌い手の想像にもっぱらお願いしなければならない詩である。「鐘」はどんなときに鳴り響く?
<夢>や<希望><幸福>といったものへの尽きざる願望がある。
↓
現在ここにはないが、どこか遠く、それこそ<うつくしい鐘>のように遥か空にかかっていて、妙なる音を響かせながら、私たちを絶えず呼び続けていると思い込んでいる節がある。
↓
そうではなく…
自然をつかさどっている不思議な力も、私たちのすぐそばで働いているのであり、私たちがいつかこの手でつかみたいと願っている夢や希望や幸福も、実はみんな私たちの周りにあって、呼びかけさえすれば、鐘のように鳴り出すもの。新川さんからのメッセージ
<耳に聞こえる音楽はうつくしい。
けれども耳に聞こえぬ音楽はさらにうつくしい。>
イギリスの詩人キーツも歌っている。
↓
もうひとつ、さらにうつくしい鐘の音を
どうぞ心の耳で聞き取って欲しい。
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